最新大学受験・教育ニュース

2019/06/06
親が大卒でない学生向け給付奨学金、新設する東工大の狙い
「親に遠慮して大学に行きにくい学生を減らしたい」

 東京工業大学は、親が大学を卒業していない学生向けの給付型奨学金制度を2020年度から始める。ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典栄誉教授の寄付を基に設立した奨学金制度の中に、大学独自で予算を確保して新設する。20年度以降入学の学生が対象。親の学歴に関係なく大学に進学しやすくなるように経済支援する。同様の奨学金は米国ではあるが「日本では初めてでは」と同大では見ている。

 新型奨学金について水本哲弥理事・副学長(教育担当)は、「親に遠慮して大学に行きにくい学生を減らしたい」と狙いを説明する。地方在住者や女子生徒らが、大卒者でない親から「無理に大学に行かなくても」と言われたとしても、本人の進学希望が通りやすいように支援する。

 新型奨学金の対象は両親か、親が1人の場合はその親が、大学を卒業していない家庭の学生だ。入学後の公募で各学年15人程度に、学士・修士課程で月額5万円を支給する。原資は東京工業大学で用意する。

 すでにある同大の大隅良典記念奨学金の枠組み内に設定する。現在はノーベル賞受賞者の大隅栄誉教授や外部の寄付による地方出身者向けのものだ。

 文部科学省の調査によると、日本の2017年度の18歳人口の進学率は大学が53%だ。短大が5%、高等専門学校4年次(在籍中)が1%、専門学校が22%。合計81%になる。

 また都市部に比べ、地方は大学進学率が低い傾向がある。上位の東京都や京都府は6割超だが、沖縄県や鳥取県は4割前後と差がある。さらに女子の進学率が、伝統的に男子より低い地域も多い。

 「大卒は決して社会のマジョリティーではない」(佐藤勲総括理事・副学長)ことから、通常と異なる切り口の奨学金で進学を後押しする。詳細は19年秋に公表する。

<解説>
 ファーストジェネレーション(第一世代)向けの奨学金は、米国で先例があり、東工大はそれを参考にしたようだ。科学技術関連の仕事をしていると、「今時は親世代も子世代もみんな大卒、大学院卒もメジャー」との感覚になりがちだ。だが今回の取材は「社会全体ではそうではない」と自らの片寄りを振り返る機会にもなった。
 今回の奨学金は月5万円にすぎないが、実際には対象者はJASSOなどからしっかりした奨学金も得ることだろう。そのためイメージとしては、大卒ではない親が「うちは家計に余裕はない。だが私らは高卒でも地に足を付けた仕事をしっかりしている。大学なんて出る意味はない」と主張した時の、反論材料だろうか。
 「東工大ではうちのようなケースを応援してくれるから、ここを受験する。末はAIスーパーサイエンティストか、ベンチャー創業者になって、父さん母さんに大邸宅を建ててあげるよ!」と息巻くのに、活用できることだろう。
[Yahoo News 6/6(木) 10:23配信]
2019/06/05
就職力ランキング、2位は京大…1位は?
日経HRと日本経済新聞社は2019年6月5日、「企業の人事担当者から見た大学イメージ」調査の結果を発表した。総合ランキング1位は九州大学で、上位14大学は国公立大が占めた。

 企業の人事担当者から見た大学イメージ調査は、全上場企業と一部有力未上場企業の計4,779社に、2017年4月から2019年3月の2年間で新卒社員として採用実績のある大学を多い順に10校まであげてもらい、「学生のイメージ」と「大学の取り組みのイメージ」を聞いた。調査時期は、2019年2月18日〜3月22日。有効回答社数815社。

 総合ランキングは、1位「九州大学」33.41点、2位「京都大学」32.78点、3位「大阪大学」32.16点、4位「東北大学」32.15点、5位「広島大学」32.06点。14位まで国公立大学が続いた。私立大学は、15位に日本女子大学、16位に学習院大学が上位20大学にランクインした。

 ランキングの詳細は、6月6日発売のムック「日経キャリアマガジン特別編集 価値ある大学 就職力ランキング2020年版」に掲載されている。就職力ランキングのほか、実就職率が高い大学&資格・試験に強い大学、2020年度の大学入試動向、受験・進学マネープランなども紹介している。全136ページ、定価907円(税別)。

◆企業の人事担当者から見た大学イメージ調査
1位「九州大学」33.41点
2位「京都大学」32.78点
3位「大阪大学」32.16点
4位「東北大学」32.15点
5位「広島大学」32.06点
6位「宇都宮大学」31.88点
7位「横浜国立大学」31.87点
8位「筑波大学」「東京海洋大学」31.63点
10位「大阪府立大学」31.51点
[リセマム 2019.6.5 Wed 11:15]
2019/06/04
【大学受験2021】入学共通テスト「活用する」61.3%、国公立は9割超
文部科学省は2019年5月31日、2021年度入学者選抜に向けた各大学の検討状況について調査結果を公表した。大学入学共通テストを「活用する」と回答した大学は61.3%。大学設置者別では、国立大学97.6%、公立大学92.7%に対し、私立大学は65.3%にとどまった。

 「2021年度入学者選抜に向けた各大学の検討状況について」と題した調査は、全国の国公私立大学1,068校(大学759校、短期大学309校)が対象。調査委託先のリベルタス・コンサルティングを通して調査票をメールで2019年1月11日〜25日に送付、3月19日まで受け付け、964校(大学692校、短期大学272校)から回答を得た。

 大学入学共通テストについては、「活用する」が61.3%、「活用しない」が9.1%、「まだ決まっていない」が29.1%。「活用する」と回答した大学を設置者別にみると、国立大学97.6%、公立大学92.7%に対し、私立大学は65.3%にとどまった。

 国語の記述式問題の活用方法は、「まだ決まっていない」が69.3%にのぼった。「段階別成績表示の結果を点数化し得点に加点する」は26.8%であったが、国立大学に限ると64.6%、公立短期大学に限ると60.0%と、いずれも6割に達した。

 大学入試英語成績提供システムに参加する英語資格・検定試験の結果については、41.4%が「利用する」、8.8%が「利用しない」と回答したが、「まだ決まっていない」が49.4%と半数を占めた。「利用する」と回答した大学を設置者別にみると、国立大学90.2%、公立大学84.1%、私立大学39.2%だった。

 英語資格・検定試験で活用するテストの種類は、「すべてのテストを活用する」が48.1%、「一部のテストを活用する」が11.5%、「まだ決まっていない」が40.4%。「すべてのテストを活用する」との回答は、国立大学90.5%、公立大学60.9%、私立大学31.9%であった。

 活用する英語資格・検定試験は、「英検」が93.5%ともっとも多く、「GTEC」78.3%、「TOEIC L&R/TOEIC S&W」65.2%、「TEAP」63.0%、「IELTS」58.7%、「TOEFL iBT」56.5%、「ケンブリッジ英語検定」「TEAP CBT」32.6%の順であった。

 2021年度入学者選抜に関する予告は、調査を実施した2019年1月段階で、国立大学78.0%、公立大学70.7%、公立短期大学53.8%が「予告を公表している」と回答した。一方、予告を公表している私立大学は15.7%だった。

 2021年度入学者選抜に向けての課題については、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度の適正な評価方法の設定」が79.9%と最多だった。ついで「思考力・判断力・表現力の適正な評価方法の設定」が71.1%、「英語資格・検定試験の活用をどうするか」69.6%、「調査書の活用方法」67.9%、「大学入学共通テストの活用をどうするか」53.4%などと続いた。
[リセマム 2019.6.3 Mon 11:15 ]
2019/06/03
英検、2019年度第1回(5/31-6/2)実施分の解答速報を公開
日本英語検定協会は2019年6月3日、「2019年度第1回実用英語技能検定試験一次試験」の解答速報をWebサイトに公開した。本会場と準会場の会場ごとに各級の解答をPDFで提供している。

 一次試験は、本会場で2019年6月2日に1級〜5級のすべての級、準会場(中学・高校のみ)で5月31日に2級〜5級、準会場(すべての団体)で6月1日と2日に2級〜5級を実施。現在、「本会場実施および日曜日準会場実施」の1級〜5級、「土曜日準会場実施および土曜日中高特別準会場実施」の2級〜5級、「金曜日中高特別準会場実施」の2級〜5級の全解答を公開している。

 今後、一次試験の合否結果・成績表の閲覧サービスは6月17日(月)に公開予定。公開時間は団体が正午以降、個人(英ナビ)は級により異なり、1級・準1級は正午以降、2級は午後1時以降、準2級は午後2時以降、3級は午後3時以降、4級は午後6時以降、5級は午後7時以降。個人(ログインサービス)は6月18日(火)以降に公開する。

 二次試験は、3級以上の合格者を対象に実施する。A日程が6月30日(日)、B日程が7月7日(日)。申込内容に応じて日程が適用される。詳しくは、英検Webサイトで確認できる。

 2019年度の実施予定について、第2回は受付期間が8月1日〜9月12日(書店は9月6日締切)、本会場での一次試験が10月6日、二次試験が11月3日(A日程)と11月10日(B日程)。第3回は受付期間が11月22日〜12月12日(書店は12月6日締切)、本会場での一次試験が2020年1月26日、二次試験が2月23日(A日程)と3月1日(B日程)。
[リセマム 2019.6.3 Mon 13:15 ]
2019/05/31
【大学受験2021】共通テストは1/16・17、国語100分に延長
文部科学省は2019年5月29日、大学入試センター試験に代わって導入する2021年度(令和3年度)大学入学共通テストの実施大綱案などを公表した。初の実施日は2021年1月16日と17日。試験時間は、記述式問題を導入する「国語」100分、「数学I」「数学I・数学A」70分となる。

 大学入学共通テストは、大学(専門職大学、短期大学、専門職短期大学を含む)入学志願者を対象に高校(中等教育学校、特別支援学校高等部を含む)の段階における基礎的な学習達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することが目的。5月29日開催の「『大学入学共通テスト』検討・準備グループ」の会議で、大学入学共通テスト実施大綱案や大学入試英語成績提供システム運営大綱案が示された。

 大綱案では、大学入学共通テストの実施期日を「1月13日以降の最初の土曜日および翌日の日曜日」と記し、初回となる2021年は1月16日と17日とした。出題教科のうち、「国語」「数学I」「数学I・数学A」はマーク式問題に加え、記述式問題を出題する。外国語「英語」は、リーディングとリスニングで構成する。

 試験時間は、「国語」100分、「数学I」「数学I・数学A」70分。記述式問題の導入により、現行の大学入試センターより、「国語」は20分、「数学I」「数学I・数学A」は10分、試験時間が延びる。「英語」は、リーディング(80分)とリスニング(60分)で試験時間を分けて実施する。

 英語4技能を評価するため、大学入試英語成績提供システムで活用する民間の資格・検定試験については、「原則として、入学志願者が2020年(令和2年)の4月から12月までの期間に、大学入試センターが発行する個人を特定するためのID(共通ID)を記入して受験した2回までの資格・検定試験の成績」とした。

 大学入試英語成績提供システムに参加する資格・検定試験は、大学入試センター試験が決定、公表したもの。システムを利用する各大学については、「入学志願者の受験機会や負担に配慮し、利用対象とする資格・検定試験の種類を限定しないことが望ましい」としている。

 大学入学共通テストの実施方法、出題教科・科目の詳細、時間割、試験場、出願手続き、検定料、成績提供、経費などに関しては、2020年6月30日までに要項を定め、公表する。
[リセマム 2019.5.31 Fri 11:15]
2019/05/30
2019年度医学部入試、女子の合格率に変化はあったのか
医学部不正入試問題に揺れた2018年。発覚後、初の入試となった2019年度入試はどうなったのか。不正問題発覚の発端となった東京医科大学(以下、東京医大)と、医大唯一の女子大である東京女子医科大学(以下、東京女子医大)の入試結果を見ていく。

 東京医大が2019年5月20日に公表した「平成31年度 医学部医学科 入学者選抜実施結果」によると、志願者数は1,428名で前年の2,935名の半数以下となった。

 全体の合格率は男子19.8%、女子20.2%という結果で、男女で大きな差がないことがわかった。

 一般入試の志願者は男子614名(63.6%)に対して女子352名(36.4%)で合格率は男子16.9%、女子16.7%。センター入試の志願者は男子209名(60.2%)に対して女子138名(39.8%)で合格率は男子25.2%、女子26.5%。推薦入試の志願者は男子68名(59.1%)に対して女子47名(40.9%)で合格率は男子25.4%、女子23.9%。いずれも男女で大きな差はなかった。 一方で2018年度の合格率は男子8.8%、女子2.9%と3倍近い開きがあったことがわかる。

 他大学については、入試結果が出揃っていない状況だが、医学部指導に長年の実績をもつ東大螢雪会の栃木拓郎代表は「2019年度は女子の合格者が増えた印象があります」と語る。その根拠として「東京女子医大の繰上合格者が例年にくらべ多かった」ことをあげる。

 東京女子医大の繰上げ合格者数は、2016年度72名、2017年度65名、2018年度39名と減少傾向にあったが、2019年度には94名と急増している。このことは、東京女子医大の受験生が併願した大学で、例年以上に女子の合格者が出て、東京女子医大を入学辞退した受験生が多かったことを示す結果と見ることができる。

 受験者数や合格者数のデータは、2019年度については各大学の公式サイトを、2018年度については東大螢雪会がまとめたデータを参考にした。
[リセマム 2019.5.28 Tue 16:15 ]
2019/05/29
【大学受験2020】河合塾「入試難易予想ランキング表」5月版
河合塾は2019年5月28日、各大学の偏差値やセンター試験の得点率を一覧にした「入試難易予想ランキング表」の最新版を公表した。センター試験得点率のボーダーラインは、東京大学(理科三類)が93%。

 入試難易予想ランキング表は、国公立と私立の入試難易度(ボーダーライン)が学部系統別・大学所在地区別にまとめられており、河合塾が提供する大学入試情報サイト「Kei-Net」に掲載されている。

 入試難易度(ボーダーライン)とは、河合塾が予想する合否の可能性が50%に分かれるライン。ボーダーラインは2019年5月現在の予想で、2019年度の入試結果と全統模試の志望動向を参考にして設定しているが、今後の模試の志望動向などにより変更する可能性がある。また、大学の募集区分も変更の可能性があるという。

 国公立大学のセンター試験(前期日程)の得点率をボーダーラインでみていくと、社会・国際学系は、一橋(社会-社会)90%、経済・経営・商学系は、東京(文科二類)91%、工学系は、東京(理科一類)91%、医・歯・薬・保健学系は、東京(理科三類)93%が最難関。

 私立大学の偏差値をボーダーラインでみていくと、社会・国際学系は、上智(総合人間-社会TEAP、法-国際関係TEAP)と早稲田(社会科学-社会科学)70.0、経済・経営・商学系は、早稲田(政治経済-経済、商)70.0、農学系は、明治(農-農全学部3、農-生命科学全学部3)65.0、医・歯・薬・保健学系は、慶應義塾(医-医)72.5が最難関となっている。

 このほか、Kei-Netでは2020年度入試情報として、センター試験に関する情報、入試日程に関する情報、新設大学・増設学部・学科一覧、入試変更に関する情報を掲載している。
[リセマム 2019.5.28 Tue 17:15]
2019/05/27
ホームレス生活の高校生、大学の奨学金3.3億円を獲得 米
(CNN)米国でこのほど、父親を亡くしてホームレスになった高校生が、大学の奨学金計300万ドルあまり(約3億3000万円)を獲得する出来事があった。

テネシー州メンフィスの高校に通うトゥパック・モズレーさんは、各科目の成績評価の平均値「GPA」で4.3を維持し、学力テスト「ACT」のスコアで31を獲得。卒業式では総代として演説も任された。

獲得した奨学金は全部で十数件に上る。モズレーさんはCNNの取材に、「本当に名誉でありがたいこと」と話した。

当初は「学校のためにベストを尽くす」という気持ちから、個人的な目標として100万ドルという額を設定していた。だが、実際にオファーが舞い込み始め、「100万ドルを超えたくなった」という。

モズレーさんは「300万ドルももらえることは卒業まで知らなかった」と話す。

高校の校長によると、モズレーさんが苦境を言い訳にしたことはなく、常に笑顔を絶やさなかった。

一時はテント暮らしも経験したモズレーさん。成功したのは家族や友人、学校にかかわる全ての人のおかげだと話し、「皆が自分を支えてくれた」と語る。

9月からはテネシー州立大学に通い、電子工学を専攻する予定だ。「人生の大半をお金の心配をして過ごしてきたので、自分のやりたいことを4年間出来ると知って新鮮な気持ちになり、やる気があふれてきた」と話している。
[livedoor News 2019年5月24日 16時35分]
2019/05/25
英検新方式、高セキュリティー「テストセンター」設置…2020年度より
日本英語検定協会(英検協会)は2019年5月14日、大学入試英語成績提供システムに対応する英検の新方式のうち、「英検CBT」と「英検2020 1 day S-CBT」の2020年度実施会場にテストセンターを設置すると発表した。テストセンターでの常時実施を目指していく。

 テストセンターは、学校会場に比べて高いセキュリティーレベルにあり、入試対応として公平で厳正な試験を実施するため全国47都道府県に設置する。対象となるのは、大学入試英語成績提供システムに対応する英検の新方式のうち、「英検2020 2 days S-Interview」を除く、「英検CBT」と「英検2020 1 day S-CBT」の2020年度実施会場。高校会場を使用せず、テストセンターで試験を行う。

 詳細については現時点では未定だが、各都道府県に少なくとも1か所以上のテストセンターを設置する方向で、準備を進めている。英検協会は「受験者にできる限り柔軟な受験機会を提供できるよう、テストセンターでの常時実施を目指している」としている。

 英検協会によると、英検の従来型と新方式では、問題形式や内容は同じだが、実施方式が変更となる。「英検CBT」は、「Reading」「Listening」「Writing」「Speaking」の4技能試験についてコンピューターを使って1日で受験。「英検2020 1 day S-CBT」は、「Reading」「Listening」はコンピューターを使用したCBT方式、「Writing」は紙に文字を書くPBT方式で受験する。「Speaking」は、いずれの試験でもコンピューターを使った録音式の試験となる。
[リセマム 2019.5.15 Wed 13:15]
2019/05/24
大学等の修学支援新制度…文科省、高校向けの手引きを公開
文部科学省は2019年5月22日、高等学校向けの「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」をWebサイトに公開した。2020年4月からの修学支援新制度について、各高校が学修意欲や進学目的などの確認を行う際の基本的な考えを示している。

 低所得世帯の学生に対し大学の授業料減免や給付型奨学金を拡充する「大学等における修学の支援に関する法律案」は、2020年4月より施行。大学、短期大学、高等専門学校などへ進学する前に、高校等が日本学生支援機構へ支援を希望する生徒を推薦し、給付型奨学金の支援対象の候補者とする「予約採用」で実施される。進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲をしっかりと見極めたうえで支援を行うという。

 「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」は、高校や中等教育学校(後期課程)、特別支援学校の高等部、高等専門学校・高等専修学校(高等課程)の教職員に向けたもの。予約採用の手続きにおいて、各高校等が学修意欲などの確認を行う際の基本的な考えを示している。

 進学前の学修意欲と強い学びの意欲などを確認する方法は、評定平均が3.5以上である場合、高校等における日常的な学習状況、進学指導などを勘案して学習意欲等の有無を判断する。評定平均が3.5未満の場合は、レポートまたは面談などにより、学習意欲等を有しているか否かを判定する。

 レポートまたは面談により確認すべき項目として、「進学の目的(進学後の将来の展望を含む)」と「進学後の学修継続の意志」がある。進学の目的では「進学の目的が述べられているか」「社会で自立し、活躍できるようになることが期待できるか」など、進学後の学修継続の意志では「進学後、卒業まで学修を全うしようとする意志があるか」などの観点が述べられているかを確認する。

 面談による場合、必ずしも学修意欲等の確認のみを目的とした面談を設ける必要はなく、進路指導の中であわせて学修意欲等を確認する方法で行うことも可能。手引きでは、確認結果の妥当性や信頼性に疑義が生じることのないよう、レポートや面談票を管理職や担任以外の教員なども含めた複数名で確認するなど、十分に客観性を確保できる確認体制の構築に努めることなども明記している。

 そのほか、支援には対象者(生徒等)およびその生計維持者の収入・資産に関する要件が設けられているが、これらの要件は日本学生支援機構が確認するものであり、高校等で確認を求めるものではないとしている。収入の確認には、マイナンバー制度を活用するため、対象者と生計維持者のマイナンバー関係書類を日本学生支援機構に直接提出する必要がある。

 なお、進学後はしっかりと学んでもらう観点から、修得単位数や学業成績に一定の要件が設定され、それらの要件を満たさない場合には支援が打切りになる。状況次第では支援した経費を返還させる措置を講じることがあるとしており、この支援を受ける学生は修学に対する自覚と覚悟を持つことが求められる。学校には、適切な進路指導を通じて、進学前の学修意欲と強い学びの意欲を適切に確認し、生徒を適切な進路に導くことを切に期待すると記している。

 文部科学省Webサイトでは、手引きのほかに支援対象の候補者の推薦にあたってのQ&Aも公開している。
[リセマム 2019.5.23 Thu 13:45 ]

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