最新大学受験・教育ニュース

2017/12/13
立教「新看板学部」を早慶並み・上智超えの難度にした仕掛け

 最難関の大学群「早慶上理」(下図参照)の一角、上智大との難易度の差を縮めつつある──。学習塾・予備校関係者の間で話題となっているのがその下にいる立教大の猛進だ。

 きっかけは11月に河合塾が発表した「最新入試難易予想ランキング」。立教大経営学部が早慶の看板学部並みの「67.5」(3科目)の偏差値をたたき出し、関係者の間に衝撃が走った。

 私立大学で67.5以上に位置するのは、早慶以外では立教大のみ。立教大を含む大学群「GMARCH」(下図参照)の他の大学はおろか、早慶上理の上理も「67.5」には食い込んでいない。

 しかも、2006年設立と歴史の浅い経営学部で記録してしまったのだ。快挙の理由は教育を充実させた結果、卒業生が活躍して企業や受験生に注目されたこと。

 現状では、上智大は大学全体では立教大より上位にいる。しかし、実は立教大には近年、人気が増してブランド化した学部が経営学部を含め三つある。それらの看板学部の評判が他の学部にも波及、大学全体の難易度が上がり、「上智大との差をじわじわ縮めつつある」(予備校関係者)という。
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● 新設の学部がブランド化

 早慶並みの難易度を記録した経営学部の売りは人材育成で、多くの「仕掛け」が用意されている。

 しかも、仕掛けの一つは入学前から始まる。新入生を対象に1泊2日のウェルカムキャンプを上級生が中心となって実施。さらに、入学時に学部長から一人一人の学生に、学ぶ目的などの誓いが書かれたカードを手渡される。

 「このプレッジ(誓い)という仕掛けで、全ての新入生に入学自体に“特別感”を持ってもらう。入学前からモチベーションアップにつながり、意識が劇的に変わる」(立教大学入学センターの和田務氏)という。

 入学後は、チームを組んで企業の課題解決などに取り組むプログラムを4年間かけて実施。チームプレーに必要な能力や、リーダーシップが備わっていく。

 「社会に出てグローバルな場面でリーダーシップを発揮できる学生を育てるという目標の下、今の社会が求めている人材を輩出している。だから自然と世間の評判、学生の質、偏差値が上がっていったのではないか」と和田氏。

 では就職実績はどうか。金融業界のみならず、大手コンサル会社や総合商社、メーカーなどにも強い。

 ブランド化した残り二つの学部のうち観光学部は、1998年に日本で初めて設置された学部で、卒業生は観光・商社業界では一大派閥として知られる。さらに、08年新設の異文化コミュニケーション学部はGMARCHの中で最難関となっている。

 入学前の意識まで変える仕掛けのインパクトで学生の質を上げた立教大の動向に今後も注目だ。

[DIAMOND 12/13(水) 6:00配信]
2017/12/11
私立大学の研究、特色化を 文科省が60校選定

「ブランディング」という言葉をご存じでしょうか。ブランドの価値をより高めていくこと、またはブランドとして社会的に認知されていないものをブランドに育て上げることを意味するマーケティング用語です。
文部科学省は、2017(平成29)年度「私立大学研究ブランディング事業」の支援対象校を選定しました。私立大学とブランディングは、どう関係しているのでしょうか。
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国の補助額は研究者個人の話

欧米の大学が「研究」を重視しているのに比べて、日本の大学、特に私立大学は、「教育」に重点を置いている学校が主流を占めています。
世界大学ランキングなどで、日本の私立大学の順位が低いのも、これが原因の一つです。言い換えれば、「研究」に関しては、日本の私立大学はどこも似たようなもので、外からほとんど特色が見えません。

このため、受験生の大学選びも多くの場合、学部・学科の名称やイメージ、模擬試験の成績などから自分に合いそうな大学を選んでいるのが実情でしょう。しかし、大学の役割が「教育」と「研究」の両方である以上、将来、研究者を目指すことはなくても、どの大学がどんな研究を得意分野としているのかを知っておくことは必要でしょう。
大学の研究力を知る指標の一つが、国からの科学研究費補助金の交付額です。これを見れば、その大学がどんな研究でどの程度の補助金を受けているのか知ることができます。ただ、これは研究者個人に交付されるため、大学全体がどう取り組んでいるかはわかりません。
このため「研究」の面で、私立大学の特色化を推進しようというのが「私立大学研究ブランディング事業」で、文科省が2016(平成28)年度から開始しました。地域経済や特定の研究分野に寄与することを目指す「タイプA」と、全国的・世界的な研究拠点となる「タイプB」の二つがあり、2017(平成29)年度は合計79億円が補助金として予算計上されています。
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大学全体の取り組みに

選定のポイントは、その研究を大学全体の「ブランディング」として取り組み、研究を通じて私立大学としての独自性を打ち出しているかどうかです。2017(平成29)年度はタイプAに123校が申請して、33校が選ばれました。またタイプBには、65校が申請、そのうち27校が選定されました。

タイプAの選定大学と事業名を見ると、たとえば、多摩大学(東京都)は「大都市郊外型高齢化へ立ち向かう実践的研究-アクティブ・シニア活用への経営情報学的手法の適用-」となっており、経営情報学などをブランディングの柱に据えていることがうかがえます。また吉備国際大学(岡山県)は、「エコ農業ブランディングによる発展的地域創成モデルの形成」で、エコ農業による地域発展をテーマに掲げています。
一方、全国的・国際的な研究拠点を目指すタイプBでは、法政大学(東京都)が「江戸東京研究の先端的・学際的拠点形成」、東京理科大学(同)が「スペース・コロニー研究拠点の形成」などとなっており、それぞれの大学のどんな研究が、全国的に有名なのかを知ることができます。
大学進学者やその保護者などは、大学選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

[ベネッセ教育情報サイト 12/11(月) 10:01配信]
2017/12/09
「小中学生が選ぶ2017年の漢字」が決定! 思わず微笑ましくなる第1位とは?
 1年の世相を漢字一字で表す「今年の漢字」。12月12日(漢字の日)に京都・清水寺の舞台で貫主(かんす)が筆で豪快に大書して発表されるのは、もはや冬の風物詩だ。その発表より一足早く、「小中学生が選ぶ2017年の漢字」が発表になった。ニフティ(東京)が運営する子ども向けサイト「キッズ@nifty」で募集し、有効回答数は308件だった。

 見事、第1位に輝いたのは「恋」(40票)で、学年別の集計でも、回答の多かった小5・小6・中1で「恋」が1位だった。理由としては、「今年初恋をしたから」「両想いの人がいて、学校がすごい楽しかった」「恋のことで、沢山悩んで、沢山泣いて、沢山笑ったから」などが紹介されている。続いて第2位が「友」(15票)、第3位が同じ12票で「楽」と「笑」だった。

 「『恋』が1位なんて浮ついてる」と思う人がいるかもしれないが、この年代の「恋」なんて微笑ましいもの。受験や就職なんてまだ考えなくていい年頃だからなのか、大人と違ってハッピーで前向きな漢字が選ばれているのはちょっとホッとするではないか。

[OVO 12/8(金) 16:42配信]
2017/12/08
高卒認定試験、合格者は前年度比677人増の5,117人
 文部科学省は平成29年12月7日、平成29年度(2017年度)第2回高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)の結果を公表した。前年度比(2016年度比)199人減の10,912人が受験し、高卒認定試験合格者は前年度比677人増の5,117人であった。

 高卒認定試験は、さまざまな理由で高校を卒業できなかった人たちの学習成果を適切に評価し、高校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験。合格者には、大学・短大・専門学校の受験資格が与えられ、就職や資格試験などにも活用できる。

 第2回高卒認定試験は、平成29年11月11、12日の2日間で実施。12,279人が志願し、10,912人が受験した。1以上の科目に合格したのは9,958人で、このうち高卒認定試験合格者(大学入学資格取得者)は5,117人。平成28年度(2016年度)第2回高卒認定試験と比較すると、高卒認定試験合格者は677人の増加となった。

 高卒認定試験合格者の平均年齢は22.2歳、最高年齢は70歳。最終学歴別状況では、「高校中退」が51.4%ともっとも多く、「全日制高校在学」23.1%、「中学校卒業」10.4%、「定時制・通信制高校在学」8.5%、「その他」5.5%、「高専中退」1.1%。

 文部科学省では、高卒認定試験合格者に対する合格証書、一部科目合格者に対する科目合格通知書を12月7日付で送付している。

[リセマム 12/8(金) 12:38配信]
2017/12/07
どうなる、H32年度以降の国立入試…旺文社が解説
 旺文社教育情報センターは平成29年12月、「どうなる、“32年度以降”の国立大入試!?」を掲載。11月に国立大学協会が発表した「平成32年度以降の国立大学の入学者選抜制度 ―国立大学協会の基本方針―」の概要、取組事項の背景、これまでの経緯などをまとめている。

 基本方針では、現行の共通試験と個別試験の組合せは、入学者の学力水準を保証するとともに、多面的・総合的な評価により、高い意欲・関心をもつ多様な学生を受け入れるためには有効で適切な方法であるとしている。そのため、平成32年度以降の入学者選抜制度について、一般選抜の1次試験における「5教科7科目」原則の堅持する考え。また、一般選抜の全受験生に対して、英語の共通テスト(2技能)と資格・検定試験(4技能)を平成35年度まで課すこと、記述式問題を含む国語・数学を課すことを明記。旺文社のまとめでは、それらの背景、経緯、現状を記載している。

 たとえば、英語に関する方針は、文部科学省の「共通テスト実施方針」にて示された平成32〜35年度実施(現行学習指導要領対応)の英語4技能の評価についての考えを踏まえたもの。国立大学協会は、次期学習指導要領対応となる平成36年度以降の実施について、英語4技能の評価の在り方を引き続き検討するとしている。

 英語の資格・検定試験を入学者選抜に活用する大学は、以前は「一般入試」に比べて「推薦入試」「AO入試」が圧倒的に多かったが、最近は「一般入試」での拡大が目立つという。旺文社の調査によると、平成30年度大学入学者選抜において、英語の資格・検定試験を活用する国公私立大学は、752大学中368校にのぼる。一般入試で活用されている割合は752大学のうち151校(20.1%)と、平成27年度の44校から3年間で107校の増加となった。そのほか、推薦入試で249校、AO入試で180校の大学が活用している。

 また、個別入学者選抜については、高度な「記述式試験」の実施、調査書・志願者記載の資料などの活用のほか、日程の「分離分割方式」を継続する考え。総合型選抜・学校推薦型選抜に関しては、多様な評価方法の活用を掲げている。

 そのほか、アドミッション・オフィスの整備など、国立大学協会が継続的な検討事項としている部分についてもまとめている。旺文社教育情報センターのWebサイトにて、平成29年12月の「今月の視点」として公開しており、誰でも閲覧できる。

[リセマム 12/6(水) 19:15配信]
2017/12/06
社説:大学共通テスト 難易度安定へ改善必要
 センター試験に代わって、2020年度に導入される「大学入学共通テスト」の課題を検証するために、大学入試センターが試行調査の問題と結果を公表した。
 試行テストは全国の高校生の一部を対象に今年11月に行われた。4年前の政府の教育再生実行会議の提言で始まった大学入試改革は制度設計に手間取り、ようやく今年夏になって概要が固まった。客観的な採点ができるマークシート式だけでなく、国語と数学に記述式問題を取り入れ、英語は英検などの民間検定試験を採用する方向だ。
 公表されたのはマーク式の7割程度を採点し終わった段階での速報値で、記述式の最終的な採点結果は来春以降になる。知識だけではなく、思考力や判断力、表現力を問うことを求めたといい、複数の資料を読み比べる問題が出され、出題傾向は大きく変わった。
 問題の総ページ数は、文章や資料が増えて、現行より約2割増しになった。大学入試センターによると、小問ごとの平均正答率は、センター試験に比べると低かったという。選択肢から当てはまる全てを選ばせる新しい出題形式の正答率は3割に満たないものが多かった。正答率が低ければ、受験生の選抜に支障が出る。上位層と下位層の二極化も懸念される。
 問題量の増加は、「時間がかかり過ぎる」「完成度が低い」との評価がある。来秋の試行テストまでに改善点を洗い出し、出題内容を見直すべきだ。難易度を安定させることが大事ではないか。現状では自己採点することも難しい。
 現行のセンター試験は1990年に共通1次試験の後を受けて実施された。国公立大学の第1次選抜に利用されるほか、私立大は学部定員の一部をセンター入試だけで合否判定する。大学を志す高校生と浪人生の大半が受験する。
 50万人を超すと見られる受験生、特に新テスト第1期生となる現在の中学3年生にとっては、どんな試験に変わるのかが最大の関心事だ。
 新しい出題方式が、高校教育に与える影響も気掛かりだ。どんな授業が新テスト対策になるのか、教育現場では試行錯誤が始まる。文部科学省は選抜方法としての有効性は、まだ道半ばだという認識を忘れてはならない。
 「新テスト対応」と銘打った参考書や問題集が数多く出版されるだろう。記述式答案の採点方法の細部や英語で採用する民間検定の評価方法など残された課題を解決してもらいたい。

[京都新聞 12/6(水) 12:10配信]
2017/12/05
採点者も迷う記述式、バラツキ懸念…大学新入試
 大学入試センター試験に代わって2020年度から実施される大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)には本番同様、記述式問題が出題された。

 結果は後日公表されるが、約50万人が受験することになる3年後の本番で、正確で迅速な採点ができるのか、課題は多い。

 プレテストや本番の採点業務は、入札を経て大学入試センターから委託を受けた民間業者が請け負うことになり、今回は教育事業大手・ベネッセコーポレーションが担当する。

 採点に当たるのは、同社で模試などの採点経験があり、採用試験に合格した大学院生や塾講師ら約1000人。採点は、受験生の個人情報を伏せた解答用紙をスキャナーで読み取った画像データを使い、複数で行う。2人で評価が異なる場合は別の採点者がチェックしたり、同センターと協議したりするという。

 だが、正答の基準に合致しているか、採点者によってバラツキが生じる可能性が指摘されている。

 全国規模で記述式の模試を年に10回程度、実施している予備校「代々木ゼミナール」の佐藤雄太郎・教育総合研究所長によると、特に国語は採点者が迷う例が多く、社内で調整するなどして試験から成績の確定まで2週間以上かかるという。佐藤所長は「入試の採点で求められる厳密性は、模試の比ではない」と語る。

[読売新聞 12/5(火) 7:59配信]
2017/12/04
「共通テスト」記述式、これで自己採点はバッチリ!?

現行の大学入試センター試験に代わって2021(平成33)年1月から導入される「大学入学共通テスト」では、国語と数学で、記述式問題を出題することになっています。しかし、正解・不正解が明らかに判断できるマークシート式と違い、受験生にとって、自己採点が難しいかもしれません。
大学入試センターは、11月中に行われた共通テストの試行調査(プレテスト)に合わせて、自己採点の参考動画(ユーチューブ)とワークシート(PDF)を、ホームページに載せています。どうやら同調査の対象者や、共通テストを受験する学年(現在の中学3年生以下)はもとより、すべての受験生にとって参考になりそうです。
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高校側の不安に応えて

記述式問題は、思考力・判断力・表現力を問うために出題されるものです。採点に当たっては、各問題に示された正答の条件をもとに、解答類型(正誤)を判断します。
しかし、自信を持って自己採点ができなければ、受験生には不安がつきまとってしまいます。それは高校側も同様で、全国高等学校長協会の調査によると、普通科高校長の7割が公平に採点されるかどうかに不安を抱いています。採点自体の公平性はセンターでしっかり担保してもらうとして、受験生も、より正確に自己採点できれば、安心して志望校に出願することができるでしょう。

共通テストをめぐっては、2017・18(平成29・30)年度に試行調査を、19(同31)年度に確認プレテストを行い、出題と採点に関する課題を解決しながら、本番の共通テストを完璧なものにしていきたい考えです。参考動画とワークシートは、2017(平成29)年度試行調査のためにアップしたものですが、そこからは、もっと多くのことが学べそうです。
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新タイプ問題、センター試験の受験生も注目を

まず動画では、共通テストとは何かを、「学校で学んだことを、学習や生活のさまざまな場面で幅広く使えるようになっているかどうかという評価を、今まで以上に重視していくことになります」などと、簡潔な要点で紹介しています。
さらに、現行のセンター試験を受ける受験生(現在の高校1年生以上)にとっても、共通テストの趣旨を理解することは無駄ではありません。「実は、新しいタイプの問題を出題する傾向は、既にいろいろな入試で始まって」(動画の解説)いるからです。

センターの大杉住子審議役(前文部科学省教育課程企画室長)は、9月に行われたシンポジウムの中で、入試で出題される問題は「大学の教育理念や大学入学時点で求める力はどのようなものか、というメッセージ」だと指摘し、共通テストでも、問題が解けるような勉強をしてもらうことを通じて、大学教育の基礎となる力の育成につなげるとともに、新学習指導要領(高校は2022<平成34>年度の入学生から全面実施)で目指すような「未来の創り手となる力」の育成にもつなげたい……と意気込みを語っていました。

本番では、必ずしも試行調査の通りの出題傾向になるとは限りません。そのことも、参考映像では強調しています。しかし大事なのは、なぜセンター試験ではなく共通テストにするのか、記述式でどんな力が問われるのかという「メッセージ」をきちんと受け止め、そこで求められる力を付けるために努力することです。点数を取るための試験対策ばかりに気を取られていては、共通テストばかりでなく、入学後の大学教育に対応することもできない……と言っても、過言ではなでしょう。

[ベネッセ教育情報サイト 12/4(月) 10:00配信]
2017/12/01
「センターの入試」と「英語資格・検定試験」 の併用って、どういう意味?

2021(平成33)年1月から実施される「大学入学共通テスト」は、GTECや英検などの英語資格・検定試験を活用する一方、当面は現在の大学入試センター試験と同様にマークシート式の英語試験も出題することになりました。この<併用方式>をどう考えればよいのでしょうか。
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現在でも国際標準で目標

センター試験で課しているマークシート式の英語試験は、現在、筆記(試験時間80分、配点200点)と、ICプレーヤーを使ったリスニング(解答時間30分、配点50点)が出題されています。しかし、これでは「聞く・読む・話す・書く」の英語4技能のうち、「聞く・読む」の2技能しか測定することができません。

本来なら「話す・書く」の2技能も共通テストの実施主体である大学入試センターで実施したいところですが、何しろ50万人規模が受けるテストです。国語や数学などに記述式問題を入れるだけでも大変でした。そのうえ、英語4技能の試験も大学入試センターが担うとすれば、試験日程を早めたり、実施や採点に関わるコストをまかなうために受験料を大幅に引き上げたりしなければならないことが、当初から予想されていました。

そこで早くから有力視されていたのが、既に4技能評価に実績のある英語資格・検定試験を活用することです。現在の英語教育でも、国際標準のCEFRセファール(ヨーロッパ言語共通参照枠)に換算して中学校卒業時にA1レベル上位、高校卒業時にA2〜B1レベルに相当する生徒の割合を50%にする目標を掲げています(どの資格・検定試験でもCEFRとの対照が可能)。今でも国公立、私立の個別入試で、英語資格・検定試験の成果を加味する大学は少なくありません。

ただ、これまでペーパーテストを中心に2技能英語力を見ていた多くの大学にとって、いきなり英語資格・検定試験に全面移行しては、本当にうまく入学者選抜ができるのか不安が根強くあります。受験生を送り出す高校側も、慎重な検討を求めていました。
そこで当面の措置として、現行の学習指導要領の下で行われる2023(平成35)年度(24平成36>年1月実施)までは、現行どおり共通テストでも英語のマークシート式問題を出題することにしました。各大学の判断で、英語に関しては(1)共通テストの問題のみを課す(2)資格・検定試験のみを課す(3)両方を課す……という「選択利用」を可能としたのです。
国立大学は両方を課すことを申し合わせ

注目すべきは、国立大学協会(国大協)が11月10日に開いた総会で、2023(平成35)年度まで一般選抜(現在の「一般入試」を改称)の受験生全員に、共通テストの英語試験と、英語資格・検定試験の両方を課すことを申し合わせたことです。少なくとも国立大学の志望者にとっては、高校3年生になる2020(平成32)年の4〜12月中に、英語資格・検定試験を受ける必要が生じます(大学に成績提供されるのは2回まで)。

国大協がこうした申し合わせをしたのも、グローバル人材の育成が急務となっている国立大学では、英語によるコミュニケーション能力の向上が不可欠であり、入学者にも高校で4技能をしっかり身に付けておいてほしい……との考えからです。国立大学と肩を並べる公私立大学にも、影響を与える可能性は高いでしょう。
注意したいのは、あくまで2020(平成32)年度から4技能を英語資格・検定試験で評価するという原則に変わりはないことです。共通テストの実施方針でも、「各大学は、認定試験の活用や、個別試験により英語4技能を総合的に評価するよう努める」と明記しています。

[ベネッセ教育情報サイト 12/1(金) 12:05配信]
2017/11/30
大学大倒産時代……地方大学が生き残るためにやっていること
18歳人口減少による「大学大倒産時代」の到来が叫ばれている現在、地方大学はどのように生き残りをはかっていく必要があるのか。『大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学』(朝日新聞出版)の著者・木村誠さんにお話を聞いた。

◆垣根を越えた「連携」の必要性

「今、地方で進学校を卒業した若者が地元の大学に入り、卒業して地元に残るケースが増えています。ただ大学進学先としては医学・看護系の学部が人気で、それ以外の分野で、地元の大学が受験生の受け皿がうまく作れていないというのが現状です。そこで、学生のニーズに対応できるよう、特色の違う大学同士がカバーし合う連携体制を作ることが理想的だと考えます」。

 連携とは具体的にどのようなものか。木村さんは続けてこう話す。
「たとえば今、国立大学の文系学部について縮小改編論が出ています。これが現実のものになると、地方の優秀な文系の高校生は地元での進学をあきらめざるを得なくなります。そこで、地方の私立大学がその受け皿を作るべきだと私は思います」。
 つまり、国立大学以外の選択肢を私立大学が作り、地域全体で学生のニーズに対応していく。このように、同じ地域の大学同士が地元の学生を逃がさないよう、連携をはかっていく必要性が出てきている。もちろん入試方法や難易ランク、伝統も違い、簡単にできることではないが、すでに大学の垣根を越えた連携の試みは始まっている。
 たとえば私立松山大学は、地元の国立愛媛大学と教育連携をしている。

 さらに都道府県単位で「コンソーシアム」という組織を作っている例がいくつもある。「コンソーシアム」とは、事業を複数の団体が共同で行ういわば連合のことで、同じ地域のいくつかの大学が教育・研究の面で連携をはかる組織を指す。大学がコンソーシアムで連携することの最大のメリットは、一つの大学では取り組みづらい事業について、複数の大学が参加することで規模が拡大し、相互に協力し合いながら取り組むことが可能になることだ。

 このコンソーシアムの成果なのか、いわゆる「地方」にもかかわらず、収容定員充足率について高い水準を実現している私立大学が複数校ある都道府県が存在する。それは、熊本県だ。
「熊本県には、九州ルーテル学院大学や熊本保健科学大学といった、収容定員充足率が全国的に見ても高い大学があります。様々な要因が考えられますが、『大学コンソーシアム熊本』の影響もあると見ていいのではないでしょうか。九州地方屈指の総合大学である熊本大学を含めた14の教育機関が、国立や私立、短大といった枠組みを飛び越えて連携できたことで、地域全体で教育の質を上げることに成功している、良い一例だと思います」。

◆地方大学の存在価値

 一方、国立大学に限った例ではあるが、四国地方ではある可能性が検討されている。
 高知大学、徳島大学、愛媛大学、香川大学、そして鳴門教育大学の五大学が連携し、入試の門戸を一つにする試みである。また、授業の共同化についても模索中だ。教育・研究の不十分な点を、国立大学が相互に補い合う環境が実現するかもしれない。
「このように地方の大学同士が結びつくのは、学生に多様な選択肢を提供するという意味でも、非常に重要なことだと思います。これまで、一つの国公立大学法人のもとに複数の大学が運営される『アンブレラ方式』が検討されることがありましたが、実現することはありませんでした。今後、四国の五大学のような例が増えていけば、完全なる『統合』ではなくても実質的な『連携』が可能になると思います」。

 前回のコラムでは、地域連携事業を積極的に行っている地方の大学をいくつか取り上げたが、大学どうしの結びつき、地元との結びつきが強まってくれば、自ずと大学の価値も高まっていくのではないか。木村さんは続けてこう話す。
「東京の大学間競争では、定員割れが続いている大学は、市場競争で敗れざるを得ません。しかし、市場原理を地方に当てはめたら、大学も過疎化していく可能性があります。連携により地域での存在価値を高めることによって、生き残りをはかることが大切なのではないでしょうか」。
 大学業界の未来は決して明るくはないが、地方の大学にとっては新たな魅力を備える最後の、かつ絶好の機会になるかもしれない。

[BESTTIME 11/30(木) 8:00配信]

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